歯周病Periodontal disease
「歯がグラグラする・・・」
「歯ぐきが2~3日前から急に腫れて痛くなってきた」
「歯ブラシをしたときに歯ぐきから血が出る」
「歯がグラグラして、前歯にすき間が空いてしまった」
「口臭が気になるんだ・・・」
これらのことにお悩みの方は多いのではないでしょうか?
当院にも、多くの患者さまがこれらの症状で来院されます。そして、原因はほとんど決まっています。その大半が歯周病が原因なのです。歯周病という名前だけは良く聞くかもしれません。しかし、どのような病気なのかは一般的にはほとんど知られていません。
実は、歯周病は非常に恐ろしい病気なのです。
歯周病は誰にでも起こる可能性があり、歯周病になってしまったならばもう完全に治すことは不可能なのです。つまり歯周病に一度かかってしまったら「どのようにそれ以上進行しないしていくか」ということが全てなのです。
歯周病とは
歯周病とは、歯を支えている歯槽骨や歯肉などの歯周組織が歯垢の中に含まれている歯周病菌に感染し、歯槽骨や歯肉が破壊されてしまう病気です。いわゆる「歯槽膿漏(シソウノウロウ)」の事です。
虫歯と並び、口腔内の二大疾患の一つであり人類史上最も感染者数の多い感染症とされています。歯周病は自覚症状が非常にわかりにくいため、症状を感じたときにはかなり重度の歯周病に進行してしまっていることが多くみられます。
歯周病は大きく分けると歯肉炎と歯周炎に分けられ、「歯肉炎⇒歯周炎」というように進行していきます。
◎ 歯肉炎
歯周病の初期段階の状態で、歯肉に炎症が限局している状態です。
◎ 歯周炎
歯肉だけでなく、歯槽骨などの歯周組織まで炎症が波及し、歯槽骨などが破壊されてしまった状態です。
歯周炎が進行すると最終的には歯が抜けてしまいます。
歯周炎が重度まで進行してしまうと治癒が非常に困難で、治すことができないことも多々あります。
歯周病の原因
◎直接的な原因
歯周病の直接的な原因は歯垢(プラーク)です。
歯垢とは、磨き残した食べ物のかすなどに細菌が繁殖してしまったものです。この歯垢に繁殖した多種類の細菌の集合体(バイオフィルム)が、毒素を出して歯肉などの歯周組織を侵襲することで、歯周病になります。バイオフィルム内で繁殖した細菌は、家庭でのブラッシングでは容易に除去する事ができない上に、抗生物質や洗口剤にも抵抗力を示してしまいます。
また、歯石も歯周病に大きくかかわっています。
歯石とは、歯垢に唾液中のカルシウムなどが沈着し、石灰化することで石のように硬くなってしまったものです。歯肉縁より上にできる歯石を歯肉縁上歯石、下にできる歯石を歯肉縁下歯石といいます。(歯肉縁とは歯と歯肉の境目の事です。)歯垢と異なり、歯石自体には病原性はないとされていますが、歯石の表面は非常に粗雑なため、歯垢や食べかすが更に付着しやすくなり歯周病の原因になってしまいます。
◎間接的な原因
歯周病の直接的な原因は歯垢ですが、他にも以下のようなものが歯周病になるリスクを高めてしまいます。
● 歯並び
歯並びが悪い所は、歯ブラシを当てにくいため、歯垢が付きやすい状況になり、歯周病・虫歯共にリスクが高くなってしまいます。
● 不適合な詰め物
CR・インレー・クラウンなどの詰め物の適合状態が悪いと、段差や隙間が存在してしまい、歯垢が付きやすくなり、歯周病・虫歯共にリスクが高くなります。
● 咬み合わせ
咬み合わせが悪く、歯に許容範囲以上の力がかかってしまうと歯周病の悪化につながります。また、咬み合わせが悪くなくても、ブリッジや入れ歯を支えている歯も、本来より強い力を受け止めなくてはならず、歯周病が悪化しやすくなります。
● 不良習癖
歯ぎしり
歯ぎしりは、非常に大きな負荷が歯にかかるため、歯周組織に負担がかかり歯周病を進行させやすくなります。
● 口呼吸
鼻でなく口で呼吸する癖があると、口の中が乾燥して歯垢が付きやすくなり歯周病は悪化しやすくなります。
そのほかにも喫煙、ストレス、食習慣、糖尿病、妊娠などから歯周病が進んで行くことがあります。
科学的根拠にもとずいた治療
当院では歯科先進国が実施している歯周病プログラムを取り入れています。
一言でこの処置を表現すると「科学的に効果が実証されたプログラム」と言えます。
今や歯科医療も進歩し「歯周病にならないためにはどうすればいいのか」、「歯周病になってしまった場合どのような処置をすれば改善するのか」などが科学的に実証されており、その通り行うことで歯周病にもなりませんし歯周病も改善します(重度の場合はケースによります)。日本でも広まっていますが、その考え方を忠実に実施している医院はほとんどありません。全体の一部だけを取り入れているのがほとんどだと思います。
具体的には口腔内検査等により、歯周病の状態、歯質の状態、歯周病へのなりやすさなどのデータを取得し、PMTC(専門の機器を用いたプロによるクリーニング)やTBI(ブラッシング指導)、生活習慣改善を併用した患者さま独自のオーダーメイドの歯周病治療プログラムを構築していきます。